2020年の夏。
未曾有のパンデミックの真っ只中。
降って湧いた10万円を手に、
わたしは——男を買った。
いわゆる「女風」だ。
目次
- 結婚して7年目
- 10万円の給付金
- リサーチ
- 「自分の人生なんだから 自分を喜ばせて何が悪い?」
- 予約の当日
- そしていよいよ施術へ。
- 彼の指で、敏感な箇所を愛撫される。
- 終わったあとは放心状態…
- ホテルを後にして駅まで2人で歩く僅かな時間、なんだかデートみたいでドキドキした。
- 女風を体験してからの私に起きた変化。
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結婚して7年目
平凡な専業主婦として子育てと家事の日々を繰り返していた。
夫婦関係は良好で、2人の子どもは目に入れても痛くないほどかわいくてたまらない。
何の不足もない、だけど埋められない何かがあると感じていた。
「産みおわり」つまり夫婦で性的な交わりをもつ必然性がもう無いわけで、その上で夫と触れ合うのは「自分にとって本当に気持ちいいことか?」といえば、そうじゃない。
それでも欲は湧いてくる。
どこにも向けられずにいる欲は、お金を払えば受け入れてもらえる術がある。それが女風。
10万円の給付金
以前から聞き齧って下調べだけはしていた女風に踏み出せるチャンスが降って湧いた。それが2020年の「特別定額給付金」と称された10万円の給付だった。それは1日数時間、女風を体験するーー男を買うのには充分な金額だった。
リサーチ
自分の住んでいるエリアの店舗をサーチする中で、不思議と惹かれるお店が1つだけあった。
決して大きくはない個人経営の店舗でキャストは2名。Webサイトも手作り感があって、でも書かれている言葉に親近感や安心感を覚えた。その理由は、オーナーが女性だということが大きかった。
「自分の人生なんだから 自分を喜ばせて何が悪い?」
初めての予約をする時は、自分でも意外なほど妙に冷静だった。誰にも秘密のこの行為には後ろめたさがあって当然なのに、それを正当化できる自分がいた。
「自分の人生なんだから 自分を喜ばせて何が悪い?」
予約の当日
予約当日の待ち合わせ場所でカッチコチに緊張していた私に笑顔で声を掛けてくれたのが、30代前半のキャストさん。私より6つくらい歳下の、爽やかで人当たりのいい印象な好青年。
この時点で安心感を覚えていたけど、ホテルまでのエスコートや施術前の雑談の中で見えるさりげない気遣いに私はすでに「この人を選んで正解だった…」と確信。
私のカッチコチの緊張を、彼がほぐしてくれるのがわかった。
そしていよいよ施術へ。
性感ありの90分ほどのコースだったと記憶している。
最初はエッセンシャルオイルを使った全身トリートメント。すっごい気持ちいい…。
キャストさんの腕は確かのよう。
途中の声かけも優しく心地いい。
リラックスしつつも、この後やってくる刺激にドキドキが高まった頃、
「これから、触れていきますね…」
彼が声を掛けた。ほんの少し強張りながらも、それを受け入れる覚悟を決めた。
「…はい」
彼の指で、敏感な箇所を愛撫される。
終わったあとは放心状態…
ホテルを後にして駅まで2人で歩く僅かな時間、なんだかデートみたいでドキドキした。
女風を体験してからの私に起きた変化。
自分でも驚くけど、夫婦で触れ合う時間が増えたのだった。
